レッスンで賛否わかれる意見シリーズ①「表現の指導は、自然に任せる?介入すべき?」

演奏中に表情を作ると笑われる?!

高校時代、コンクール優勝者やプロの奏者達が、眉間にシワを寄せたり、表現豊かに顔を作って演奏するのを真似し、私が情熱的に強く心を込めて演奏していると「笑う」友人がいました。また、それを良くないと非難をする友人さえいました。顔芸だと言って笑う方もいます。笑ってもらえるが故に、今ではわざとレッスンやオーケストラで顔で表現して笑わすこともあります!(笑)

しかしながら、、この顔で表現して笑われるということは、思い返すと、アメリカでは一切なかったなと思います。むしろ、関心され「とてもハートがあって良い」と褒められ、感動され、涙を流してもらえることもあり、私は、アメリカで演奏することがとても楽しく、嬉しく思ったことがありました。やはりアメリカはラッキーなことに私の演奏スタイルが合っていたのかもしれません。そう考えると、日本では、残念にも演奏中に動き過ぎたり顔で何かを表現するということがとても、可笑しい事、恥ずかしい事として扱われることが多いようです。

表現を謙虚にする日本文化

確かに歴史を考えれば、日本の武士や位の高い方は、あまり表に顔を出さない人のほうが、沈黙は金なりではありませんが、立派、格好良いとされてきましたよね。そんな歴史・文化が足を引っ張るのか、コンクールで審査をしていても、日本の生徒達は表現力に関して、圧倒的な遅れを取っている気がします。

私の生徒も、色々な生徒がいます。表現力抜群で面白い生徒もいれば、大人しい生徒もいます。どちらも個性ですし、素晴らしい生徒達です。しかし、舞台に立つ以上、表現力はあったほうが観ていて聴いていて面白い。国際コンクールで賞を取るなら尚更表現力は必須。そう考えていますので、私は駆け出しの頃、生徒達に私の音楽性や個性を押し付けまくり、表現や個性に介入しておりました。それで、大人しい子には不快な顔をされたこともしばしばあります。

表現の指導法はプッシュすべき?!

私は、何人かのヴァイオリンの先生(先輩方)に「表現力が乏しい生徒は、どうしたら良いと思いますか?」と尋ねる機会がありました。すると「表現力はその子の性格だから、自然に任せるのが良い、大人になるのを待つのが良い!」という意見がほとんどでした。

私は、「そういうもんか、、」と思い、それ以降、あまり表現に関しては若い時ほど指導しないように、、自然に任せるようにしていた時期がありました。

しかし、私は、間違っていたことに、途中で気付きました。

自然に任せる。つまり悪い言い方をすれば「放って置くと」、表現力もテクニックと一緒で、生徒が成長しなくなっていることに途中で気付いたのです。いや、(言い過ぎました。)成長が鈍化するのです。

自然に任せていた私に追い打ちをかけるような、話がありました。

自慢の祖母の表現テクニック

私には、96歳になる祖母がいます。祖母は、三味線から長唄、踊りまでこなすエンターテイナーでもあります。そんな祖母が、ひとたび歌いはじめると、顔がガラッと変わり、まるで芸者さんのような顔になります。目の使い方、顔の動かし方。全てが変わり雰囲気を作り出します。

それを見た私の母が「おばあちゃんは、すごいね。あんな顔は私には作れない。あれは天性だね、すごいね」なんて褒めていました。私は確信しました。芸事に顔で表現する。ということは、重要事項の一つだと。

そこで、おばあちゃんにその顔はどうやったら出来るのかと問うと「お師匠さんに、こういう顔をしないと怒られるからさ、身についちゃったのさ」と、、、、邦楽の世界では、表現力が乏しければ、それも辛抱強く指導されるのか。と驚かされました。そんな話から、「表現力は個性や性格だから、放って置いて良い」という意見に私は完全に疑問をいだきました。

テクニックはもちろん、全ての芸事は基本、真似からはじまると思います。真似から始まり、オリジナリティが付いていくもの、最初から何かを生み出そうとしている人は、何も生み出していないことが多いはずです。

表現もテクニックも一緒。教わる事が出来るものなのですよね。もちろん、生徒によってはテクニックも表現も、はじめっから出来てしまう才能有る生徒はいます。しかし、どちらも努力と指導次第で補える事だと、私は理解してからは、それを信じてレッスンを現在しております。

わたしの意見としては、表現の指導も、テクニック同様に、子供のうちから一つの案として介入すべきだと断言します!

しかしながら!!!!

表現力指導の結論

表現力を指導する際、注意すべきことは、先生の個性を押し付けるだけではなく、「その生徒が持っている基礎の個性や表現力」は活かすことが大事かと思います。

例えば、その生徒が、激しい個性を持っていれば、それを活かしつつ、ときには大人しい個性も正しい有りなのだと方向も示す。大人しい個性ならば、その大人しい個性を尊重しつつ、激しい個性もあるのだ紹介しながら、徐々にそれも正しく取り入れられるようにしていくことが大事かと思います。そのあとは、自分でどう調理していくかです。そうすれば、所謂「自然の表現」が付いていくのでは無いかなと思います。

その先生に習うことも自然の流れなのですし、表現を習うことだって自然なことだと思います。指導者は、個性を「押し付け過ぎず」バランスよく介入していくことが大事で、逆に自然に任せすぎることは、上達成長スピードを考える点では、私は疑問かなと思います。もちろん、放って置いても、急に大人っぽい表現の演奏が出来るようになる子も中にはいますが、全員が全員そうなるわけではないので、表現録指導の介入は必要だとわたしは考えます。(完)

おまけ・賛否分かれるシリーズ!

ちなみに、「賛否分かれる意見シリーズ」は以下の通りです。是非ご一読ください!


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クニトInt'lストリングスクール ヴァイオリン教室/バイオリン教室 3度の飯より教えることが大好きな講師が、アメリカ大学で行われている国際感覚豊かなレッスンを行ってます!

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