レッスンで賛否分かれる意見シリーズ⑪「選曲は、得意そうな曲を選ぶべき?苦手な曲を選ぶべき?」

発表会が終わると生徒の皆さんは、新しい曲を選んで練習しはじめます。

コンクールに参加する生徒たちや、大曲を希望する生徒さんは、また長い期間、新曲と付き合うことになるので、選曲に当然慎重になります。私の教室では、できれば生徒にはどんどんレパートリーを増やして欲しいので、譜読みが得意で、尚且つ余裕がある生徒には、より多くの曲を次回の発表会まで練習してもらいます。

ということで!賛否シリーズの今回のテーマは、「選曲」です!

演奏してみたい曲や得意そうな曲、好きな曲。もしくは、得意ではなく眉間にシワが出来るような難しい基本を学ぶような苦手な曲。どちらを選曲すべきかを議論をしていきたいと思います。

ちなみにここでは、音階や練習曲の話ではなく、メインに練習する曲についてお話しします。

好きな曲、やってみたい曲を選ぶメリットとデメリット

まず「得意な曲、楽しい曲を選ぶメリット」は、モチベーション・やる気が上がることですよね!

これは選曲する上で、大事なメリットだと思いますし、楽器の上達の為には一番の必要条件だと思います。好きな曲であれば、参考音源も聴きやすいですし、なにより練習時間が増える可能性があり、ヴァイオリンを触る機会が多くなります。また練習時に気持ちが高揚した状態なので、拘りも増えクリエイティブな練習が期待出来ます。

一方、デメリットとして、長期間その曲を練習していると、折角好きな曲だったのに、嫌いになった。飽きた。という残念な状態に陥ることもあります。長期間同じ曲を練習するのは効果があると反面、モチベーションの低下に繋がります。「初心忘るべからずの精神」が備わる生徒なら良いのですが、そうでないと曲の変更を余儀なくされます。好きだった人と付き合って、長くいると嫌なところも見えて、ガッカリするアレです。その曲に、惚れ直す技術?機会?が必要になります。

また、好きな曲ややってみたい曲は、想像以上に難しい場合がほとんどです。仕舞には「こんな曲じゃなかったのに・・」なんて言う生徒もいます。酷いと「先生のせいでこの曲嫌いになりました!」なんて、責任転嫁してくる生徒も!?

苦手な曲を選ぶメリットとデメリット

苦手な曲は生徒によって違います。大きく分けると技術的に難しい曲が苦手な生徒、表現的に難しい曲が苦手な生徒に分けられます。ロマン派が好きそうな生徒には、古典やバロックモノ。逆に古典が好きな生徒には、ロマン派や、時に近代モノが苦手にあたるのかな?と思います。人それぞれです。

苦手な曲を選ぶ最大のメリットは、苦手分野の克服です!他のメリットとして思いつくのは、苦痛を受けることを喜ぶ、ある意味向上心の高い人が興奮することでしょうか。笑 困難を喜ぶ人たちもいますからね。

しかし、その苦手な曲、好きになってしまったらどうでしょうか?住めば都という言葉があるように、いつの間にか口ずさんで好きになっている場合があるのです。嫌いな人が、ずっと一緒にいると好きになってしまう感覚ですかね。

苦手な曲が得意になったときの充実感とその乗り越えた優越感は、必ず自信に繋がり大きく技術的にも精神的にも成長します。

なにより、楽器を通して人生で学ぶ重要なことの一つに、苦手なことを克服する。ということがあると思います。人生が豊かにするために、辛いことも頑張る。それが出来たとき、どんなに充実感と自信に繋がるのか、是非生徒たちには挑戦してもらいたいです。それが出来なくても、苦手なことに挑戦したという事実があるだけで、人生変わってくるのでは無いでしょうか。もちろん逃げの人生も有りだとは思いますが、せめて学生のうちは、失敗することが許されるわけですから、苦手なことにも興味を持ってもらいたいところです。

「良薬口に苦し」の精神で選ぶことも重要です。その代わり、相当な精神力を要します。

しかしながら、苦手な曲を勝負曲やコンクールのための曲としてすることは、かなりのリスクがあります。

受験やコンクールに強い曲とは?

受験やコンクールのための選曲は、本当に細心の注意を払わなくてはなりません。

受験やコンクールは、経験や技術だけでなく、より長い時間練習することから、より早い成長機会を得られます。ですが、逆に自信喪失したり、ストレスを大きく抱える機会でもあります。なので、受験・特にコンクールは、ハイリスク・ハイリターンだということを理解しなくてはなりません。

コンクールの選曲に失敗すると、その曲が一生のトラウマになりますし、悪い思い出の曲となり、下手でない可能性があるのに苦手意識が付いてしまう可能性があります。最悪の場合、その曲を上手く弾けなかったために、選曲が原因なのに、自分を責めてしまい、自信を無くして楽器を辞めてしまう可能性もあります。なので、細心の注意を払わなくてはならないのです。

では、コンクールに強い選曲についてお話します。

これは、もうそのコンクールの審査員の好みです。もちろん流行り廃りもあります。難しい曲を弾いて驚かれる場合もありますし、逆に簡単な曲を丁寧にきれいに弾くことを好む審査員もいます。

、、、と言ってしまうと、じゃあどんな曲を選べばいいねん!となってしまうので、ズバリ言いますと、「過去に受賞した生徒の曲」です!つまり、過去問を解こう!ということです。

学校でも受験でも過去問を、勉強すると効率が良いですよね。それと一緒です。なので、どんな曲で過去に受賞してきたのか調べる必要があります。その曲の中から練習する曲を選曲することは一つの手だと思います。方法は、コンクールを見学することが重要です。今の時代、ネットから調べることもできるかもしれません。

しかしながら!私はコンクールに強い曲というより、その生徒に合う必要な曲を選ぶことが大事だと思います。コンクールに寄せた曲を選んでいると、いわゆる「コンクール病」になってしまうので注意したいところです。コンクール病には本当に気をつけましょう。コンクールで、優勝した何々ちゃんが弾いてたから弾きたい!という理由で、先生が提案する選曲を断り、その曲を練習して本来の上達スピードが鈍化することは残念ですし、先生のモチベーションを下げるので、レッスンも更に効率が悪くなるでしょう。

コンクールには課題曲がある場合もありますよね。課題曲も、その生徒に必要のない曲で、他に必要な練習曲があるならば、自由曲のコンクールを受けるべきだと思います。もちろん、本人の意志と相談でもありますが。また、課題曲は勝負曲になるので、上記で述べたように、課題曲のための練習曲を選曲して練習することも一つの手です。というか、ヴァイオリンの場合、カール・フレッシュ(音階)ですべて事足りますが。笑

先生が得意な曲を選ぶのも得策

上達のための選曲方法として、先生が得意な曲を選ぶことも重要です。つまり先生のレパートリーの中から選曲したほうが、先生のお見本が聴ける確率が上がります。私は、自分のプロフィールにオーケストラと共演したことのある協奏曲を載せていますが、先生の演奏会やプロフィールから選曲するのも一つの手だと思います。あとは、先生に思い出の曲を尋ねるのも良いかもしれません。

しかしながら、矛盾した話をするので少し混乱させてしまうかもしれませんが、逆に、先生がよく知らない新しい曲をレッスンすることも、必ずしも悪いことではありません。

その時点でその先生の人生にとって、音楽や楽器について理解しているベストなベテランな状態なわけです。未熟な昔の学生時代に練習して演奏した曲を習うより、ベテランである今、一緒にその曲を紐解いてレッスンしてもらうほうが、実は効率良かったり、新たな発見、そして柔軟な発想が出来る確率は経験上高いのです。

あまり知らない課題曲をコンクールで出されて、レッスンする時にとてもそう思います。一つの例として、私はカバレフスキーの協奏曲を人前で演奏したことも、真面目に学生時代練習したこともありませんでしたが、生徒が立派なコンクールで賞を獲ったこともあります。勿論、レッスンしているうちに私も見本が弾けるようになっていますよ。笑

結論 オススメな曲は?

私のレッスンでは、新規の生徒には、まず好きな曲、エネルギッシュな楽しい曲、合格どんどん出来そうな曲を選びます。それで、ヴァイオリンやレッスンの楽しさを伝えてから、基礎曲や苦手分野を学んでもらうことが多いです。

ただ、私の個人的な意見としては、学生の生徒さんには、苦手な曲が好きになる経験を沢山してほしいです。その経験を喜べるようになったとき本当の意味で、ヴァイオリンが好きになれるときじゃないかなと思います。「達成経験」は重要な人生経験だと思います。

また、レパートリーを増やすべく、様々な曲にも挑戦してもらいたいです。

結論として、オススメな曲というよりは、「量を目指すべき」だと思います。(※上記の議論は何やねん?ですね。苦笑)

プロになると分かるのですが、本当にレパートリーは多いければ多いほうが良いです。プロの皆さんや先生たちが口揃えて言うのは、「学生の時、より多くの曲に触れて暗譜しておけば良かった」という声をよく聞きます。

また、挑戦したことのない新しい分野に挑戦することが大事かなと思います。そして、選曲を先生に毎回完全に頼るよりは、色々な曲を知ることが出来るので、自分で選ぶということが大事かもしれません。そのためには、やはり譜読みを得意にして、どんどん先生を納得させる演奏すべく、曲を合格させていくことが大事ですね!がんばりましょう!(完)

過去のレッスンで賛否わかれる意見シリーズ

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クニトInt'lストリングスクール ヴァイオリン教室/バイオリン教室 3度の飯より教えることが大好きな講師が、アメリカ大学で行われている国際感覚豊かなレッスンを行ってます!

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