中学3年生の進路相談で、3者面談の時です。私が音楽学校に行きたい旨を担任の先生に伝えると、担任の先生は私を応援してくれていた母に「ご家族に音楽家はいらっしゃるのですか?」と質問しました。母の答えは「いません。。」でした。その質問に対して、母は失礼を感じたようです。皆さんは、この先生の質問、どう感じるでしょうか?
今回の意見の賛否分かれるシリーズでは、「プロの奏者になるためには家族の中にプロの音楽家がいる必要があるのかどうかについて」プロ奏者の自分の意見を述べてみたいと思います!
先ず!結論から述べますと、プロの音楽家になるために家族の中にプロの音楽家がいる必要はありません!それはプロになるために重要なファクトではありません。
私の場合、家族にはプロの音楽家はいませんでしたが、アマチュア音楽家の父と宝塚ファンの母がいます。母方の祖母は、三味線や長唄が好きでした。その意味では、音楽に対する理解がある環境の中で育ったと言えるかもしれません。家族に音楽家がいなくても、音楽に対する理解のある環境が重要だと思うのです。
では、家族に音楽家がいる場合といない場合のメリットとデメリットを考えてみたいと思います!
家族にプロの音楽家がいることでのメリットとデメリット
プロ奏者になるために、家族の中にプロの音楽家がいるメリットは、一番に思いつくのはコネクションだと思います。
プロの奏者とのコネクションがあれば、良い先生を簡単に見つけたり、必要な人材を探しやすくなります。場合によっては、演奏の機会や仕事先を紹介してもらえることもあるでしょう。
他のメリットとして大きいのは、音楽界の変な噂やコンクールの評価などに惑わされず、一心に練習に専念できることだと思います。
音楽界の理不尽な側面を理解しているため、不満を持つことなく、必要なことを行いながらプロを目指せる点は重要だと思います。
しかしデメリットも存在します。
家族の期待が高すぎてしまう場合や、限界を自ら作り出してしまう点が挙げられます。
例えば、「このレベルだと音大の先生になるのは無理」などと思い込んでしまったり、「特定の音大に行かないと音楽で生活するのは無理」と視野を狭める可能性があります。
新しい方法を嫌う、新しいものを生み出しにくいといった固定観念も生まれやすいでしょう。
このような制限を自らに設けることはデメリットだと思います。これはプロの悪い側面だと思われます。
成功している場合は良いのですが、そうでない場合の風当たりは厳しくなるでしょう。家族に音楽家がいるというだけでハードルが高まります。特に二代目という立場は、うまくいかない場合が多いと歴史上の人物を見てもわかります。もちろん例外も存在しますが。
家族にプロの音楽家がいないメリットとデメリット
家族に音楽家がいない最大のメリットは、自分で道を切り開き、自身の能力を試すことができる点です。
応援する家族にとっても新鮮で面白い経験になるでしょう(その一方でスリルもあります。笑)また、より一生懸命にプロとして生きていこうとすることから、新たな道が開かれる可能性があります。大きな夢を描くことも可能でしょう。
音楽家の家族がいない最大のメリットとして挙げられるのは、生きるのに、音楽よりもお金が重要であるという現実主義感覚を持つことができる点です。
楽器の実力を上げることはプロになるためにとても重要ですが、楽器の実力を上げることよりもお金を稼ぐことが重要だと思える現実主義が多い気がします。音楽で生活するという意識や意志がより強いんじゃないかなと思います。勿論人によるのかもしれませんが、、ブランド感覚や金銭感覚の違いが生じやすいのかなと思います。
極端な例を出すと、10億円手に入れた場合、私ならその10億円で名器「ストラディバリウス」のヴァイオリンを購入するよりも、数多くの演奏会を開いたり、新たな事業を立ち上げたり、マンションを購入したりすることを選びます。貯金もします。笑
しかし、プロの音楽家の家系の方にそのような話をすると、驚かれることがあります。音楽家ならばヴァイオリンを購入するのが普通だと思われているからです。だから、家族にプロの音楽家がいないプロ奏者は、より現実的に考える傾向にあると思います。私は、これはメリットだと感じています。生き抜くためには重要なことだと思います。
デメリットとしては、音楽界を知らないため、夢が大きくなる分、現実や常識を知らないことから、そのカルチャーショック(洗礼!?)を受けることだと思います。その夢と現実のギャップをどう受け止めるかが問われます。
本当に音楽が好きでプロの音楽家になったのであれば、「プロの音楽家として生きていること自体を、基本満足する」ということを忘れてはいけません。
高い理想や目標は大切ですし、夢を追い求めることは、素晴らしいのですが、基本!音楽が好きでやっているという事実を忘れてはなりません。
最大のデメリットとして挙げられるのは、音楽界についての知識が乏しく、不安になることが多い点です。心配になった家族からは、「音楽なんかで生きていけるのか?やめてしまえ!」という、夢を壊すような発言が出ることもあります。これは非常に邪魔な考え方であり、マイナスな方向へと進んでしまうため、最新の注意を払う必要があります。
これがプロの音楽家が家族にいるかいないかの最大の違いだと思います。
それに予想外の事態が多く起きるため、本人も家族もプライドが傷つくことが多いでしょう。つまり、プライドをコントロールする覚悟が必要です。音楽界に足を踏み入れようとする素人は、様々な理由から強がりがちで、プライドが高まる傾向にあり、その結果失敗する人が多いと私の経験から感じます。なので、キーポイントは、プライドのコントロールですよ!
家族に音楽家がいなくてもプロ音楽家になる攻略法
プロの音楽家であり、家族に音楽家を持たない者として、最後にいくつかのアドバイスを提供したいと思います(^^)/
師匠選びは、良き理解者を!
まず、「師匠選び」は、自分を理解してくれ、かつ成功している先生を選ぶことが重要です。
なのでズバリ!家族に音楽家がいなくても、しっかりと生き抜いている先生を師匠にすることが最善の選択だと思います
例えば、結婚について結婚している人にアドバイスを求めると「結婚してみなさい!」と答えることが多いですが、未婚の人に結婚についてアドバイスを求めると「結婚はやめた方がいい」や「しっかりとパートナーを選びなさい」というような意見が戻ってきます。
同様に、家族に音楽家がいない先生ならば、あなたが抱えている課題や問題を理解し、適切なアドバイスや前向きな指導を提供してくれるでしょう。
家族に音楽家がいない中でプロの音楽家になるなら、同じような状況を経験してきた先生からのアドバイスを受けることが最も重要なのです!
自営業感覚が必須
また、自営業者としての感覚が必要です。オーケストラ奏者は、少しサラリーマンに近いかもしれませんが、特にフリーランスの音楽家は、その音楽家自身が一種の企業となるので、コンサートの準備から経理、マーケティングまで全て一人で行わなければなりません。音楽事務所も利用可能ですが、その利用は費用がかかります。時間を優先したり税金対策をしたい場合は、事務所に頼るのも一つの方法ですが、全ては自分で行動しなければ誰も助けてはくれません。音楽大学の先生だって、これからの生徒の方が卒業生より大切なので、仕事まで手助けしてくれることは稀です。
愛想愛嬌も磨こう
そして、愛嬌は特に重要です!どの職種でも、どの分野でも、人とコミュニケーションをとり、好かれる能力は大切です。楽器を演奏するだけでなく、他のスキルも身につけることが重要です。
常にやりたいコトを見つける努力を!
そして最後に、何をしたいのか?という明確な目標を常に設定することです。
具体的に、このようなイベントを開催したい、このようなコンサートをしたい、この曲を演奏したい、オーケストラと共演したい等、具体的な願望や目標を常に持ち、それを実現する勇気も重要です。
なお、これらのイベントを開催するには、決断する勇気が必要です。しかし、そのためにプロの音楽家になったのですから、そのことを忘れないでください!(^^)/
まとめ
プロの音楽家になるためには、必ずしも家族にプロの音楽家がいる必要はありません。しかし、理解者としての家族の存在は重要です。また、師匠選びも重要なポイントとなります!
一つ言いたいことは、人生は一度きりです!プロの奏者になりたいと思う方、音楽で生計を立てたいと思う方には、ぜひともその道を進むことをオススメします!
音楽家になっても、確かに経済的に大変豊かになれる可能性はそれほど高くはありませんが、少なくとも私の周りのプロ奏者達は、それなりに苦労や大変な経験もあるとは思いますが、みな楽しそうに、音楽家をしています!音楽家になったことを後悔しているプロ奏者に、少なくともわたしは出会ったことはありませんよ(^^)オススメの職業です♪(^^)
プロを目指す学生の皆さん、ぜひとも頑張ってください!応援しています!一人でも多くの音楽家が育ち、音楽の世界が繁栄し、その地域に貢献する存在になり、世の中をより良くしてもらえればと思います!
過去のレッスンで賛否わかれる意見シリーズ一覧
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