レッスンで賛否わかれる意見シリーズ④「時代背景を考える演奏指導はコンクールで正解か?否か?」

テルミンの指揮をする筆者

メリークリスマス!ですね!皆さんクリスマスを楽しまれているでしょうか??

また先週から、第29回日本クラシック音楽コンクールの全国大会2019が東京近郊で開催されています!私の教室の生徒たちも頑張っています!

ピアニストの大澤先生、石渡先生もサポートしてくださってます。本当に夏からのサポート感謝申し上げます!(正確には1年中のサポートなのですが、クラコンは夏からなので!)

さて!

今回のブログは、「賛否分かれる意見シリーズ」の第4回目で「コンクールでよく先生達も悩まれる、時代背景を考える演奏指導を行うかどうか」という話を致します。

過去の賛否分かれるシリーズ!

ちなみに、賛否分かれるシリーズは過去3回とも私の強い主観で話しております。なので、他の先生はどう考えられるかは自由だと思いますので、予めご理解いただければと思います。あくまで私の意見です。

ちなみに、過去3回の「賛否分かれる意見シリーズ」は以下の通りです。是非ご一読ください!

課題曲にJ.S.のバッハの作品

毎年、コンクールの課題曲にJSバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータの課題が出ます。

この課題曲が曲者でして、生徒にどう演奏させるかいつも悩みます。「音楽の父」JSバッハは、バロック時代の作曲家であるにも関わらず、かなり時代を超越した作曲家であり、バロック奏法という縛りのある弾き方でバッハを現在の楽器や技術で演奏することが、果たして正解かどうか悩まれるのです。

音楽高校&音楽大学の授業で音楽歴史を紐解く学者さん達は、バロックの演奏法はこうだ!という教科書的な基本的理論があります。

例えば今パッと思いつく限りで、バロック時代の演奏法教科書的ルールとして以下のものが挙げられます。

  • スピッカートが無い時代ですから、使用してはいけない。
  • ヴィブラートが発達していなかった時代なので、ヴィブラートをかけてはいけない。
  • ロマン派のように気持ちを込め過ぎて弾いてはならない。
  • 和音はバロック弓では同時に鳴らせたので、できるだけ同時に弾く。その一方で、バラすように弾く奏法もあり(これも意見分かれる)
  • 教会旋法を使っていたので、それを意識した音程を取る。
  • バロックの時代の音程は低かった。もしくは教会によっては音程がバラバラだから、バッハの教会の音程は○○。
  • テンポは、絶対に揺らしたりしてはならない。
  • 教会で弾くように響かせる様に弾く。
  • そもそもバロック・ヴァイオリンは、お腹で支えてたから、楽器を挟んで締めすぎない。
  • 一音一音、独立したように弾く。
  • 8分音符をメインにカウントする。(8ビート)

などなど、他にも沢山あります。

バロック時代の奏法は、勉強として役に立つけど・・

私も大変勉強しましたし、数々の師匠にバッハの弾き方を指導されました。
バッハを教科書通りの演奏法でしっかり出来るようになれば一つの武器(奏法)となり、他の作曲家の曲を練習&演奏するのにかなり役立ちます。つまり、バッハを練習していれば絶対上達します。バッハを練習することは基本を習得することにも繋がります。

しかしながら、(言い過ぎかもしれませんが)バロック時代に寄せた奏法を人に聴かせることは、自己満足に近いと思います。
バロックに詳しいマニアックなお客さんや、知っている弦楽器奏者が、バロックに寄せた奏法を聴ければ「本物だ!」と喜ぶと思います。しかし、ヴィブラートを使用せずに演奏する人、ヴィブラートを使用して演奏する人、どちらが上手く感じるかは、多分使用している人のほうが上手い!と思ってくれる現代人は大多数だと私は思います。

そんなことから、私の意見として主張します。私は、バロック時代の奏法に寄せて演奏することは、決して面白くないわけではないですが、どこまで寄せるかの「適度の問題かな」と思います。


バロックに「完全」に寄せて演奏しようものなら、その奏者は、「個性」が無くなると思います。つまり、バロックの奏法だけをする奏者は、バロック時代の奏法をアピールするだけで、その人自身の解釈は聴くことが出来ないと思います。完全に寄せた演奏がその人の個性であり解釈だと言われればそれまでですが、、、

ただ、完全にバロック時代の奏法を無視して弾いてしまうのも考えものです。「パガニーニ風バッハ」とか「ロマンチックバッハ」とかそういう趣向の演奏会なら良いと思うのですが、そうでなく、バロック時代の知識無しに好きなように演奏している演奏は、知的でもなく、工夫も無く、作曲家の意図を探る努力も足りないと考えます。敢えて知った上でバロックを離れた演奏をしているかどうかが鍵だと思います。

また、現在は、ホールも楽器自体もバロックの頃とは違います。バロック時代では、弦楽器はお部屋のサロンで弾いていた楽器です。現在は3階建ての何千人が入るホールで演奏されます。また、バロックの教会でも響きがあったと思いますが、教会の響きは、現在のホールの響きとは別物です。流行りもあります。なので、必ずしも上記のバロック時代の演奏法、つまり教科書通りの奏法は、現在の演奏会では適さない場合がむしろ多いと私は思います。

コンクールでのJ.S.バッハの演奏の仕方

では、コンクールという審査される場所では、どうすれば良いのか。

面白いことに、コンクールを観に行くと分かるのですが、演奏タイプは2つに分かれます。きちっとバロック時代の演奏を目指す参加者。バロック無視でロマンチックに演奏する奏者に分かれます。ということは、先生たちもその2パターンに分かれていることだと思います。

バロックのうんちくが多い審査員は、もちろん前者を好みますし、柔軟な考えの審査員は後者が上手ければ後者に点数をあげます。

私の意見は、コンクールであろうが演奏会であろうが上記と変わらず、適度にバロックの良いところは使い、現在の奏法で自分の音楽が出来るところは主張するべきだと思います。

ただ、正直、私からしたい本当の学習者へのアドヴァイスは「上手ければなんでも上手い」です。極めた人が勝ちます。バロックの弾き方も正直、超見事に行われて再現出来ていれば、それはそれで凄いし認められると思います。逆に、バロック奏法を超越して、ロマン派だか近代だか分かんない弾き方でも、審査員を驚かせ上手ければ、問題ありません。ただ、前者の方が納得させることが難しいです。後者の方が受かりやすいと思います。

どちらにしろ、好き嫌いが分かれます!審査員の好みや傾向を知りたければ、事前に審査員の弾き方情報を得るしかないのですが、それはとてつもなく労力が必要になりますし、そうすると今度はコンクール寄りになってしまい、正直コンクールの奏法になり、そのコンクールではよくても、その奏者の独特の個性が無くなり面白くなくなると思います。

結局、上手い人はどう弾こうが上手い!

ごちゃごちゃ言ってきましたが、要約すると「誰がなんと言おうと好きなように上手く弾け!」です!(^^)
結局、社会に出れば、教科書のルールではなく、その人の個性が勝負だと強く思います!人が喜んでもらえる演奏が一番!バロックに寄る演奏よりは、自分が納得できて、尚且お客様に寄る演奏が大事かもしれませんね〜!

それでは、みなさんが明日も素晴らしい一日でありますように!

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