レッスンで賛否分かれる意見シリーズ⑲「より良い演奏をするために恋愛経験は必要?不必要?」

今回の賛否意見分かれるシリーズでは、遂に!?禁断の恋愛を議題にしました。恋愛経験が、より良い演奏する為に「必要」なのか「不必要」なのか!?議論してみたいと思います!

「百年の恋も一時に冷める」

わたしの師匠であり、元N響コンマス&藝大名誉教授と輝かしい実績を持つ故田中千香士先生に、わたしが学生時代「ヴァイオリンを上達する為に恋愛経験は必要なのでしょうか??」と質問したところ答えは意外にも!?

「必要ないね」

と即答されました。

負けずにわたしは「でも、先生!表現力は大事じゃないですか!気持ちを込めて弾くから恋愛経験は必要ですよね?」と聞くと「一音外したら一気に冷めるからな!そんなこと考えているなら一音でも音程直しだな!恋愛経験は練習時間が減るから、むしろ弊害だな」と一蹴され、わたしは苦笑し、流石先生なるほどなぁと思いました。

特にヴァイオリンは、ピアノや管楽器、ギターの様に視覚的に音程が目える楽器ではありませんので、音程を取るのが超絶難しい楽器です。更には高音楽器なので、他の弦楽器より音程の悪さはすぐ目立ってしまいます。 

もっと言えば、ヴァイオリンの音程の悩みは、プロであろうがベテランであろうが、一生の慢性的な?!問題なのです!おまけにヴァイオリンは、雑音も出やすく、上手い下手がとても他の楽器に比べて分かりやすい。という特徴を持っております。、、となんだか愚痴ってしまいましたが!笑&恥

話を元に戻し、なので、恋愛経験云々など1音外したら終わり!というのは納得が行く話なのです。師匠が弟子にする答えとしては、当然の答えだったかもしれません!わたしも同様に聞かれれば千香士先生と同じように答えるかもしれません。

恋愛知らずして恋愛の曲が弾けるのか?

ですが!もちろん、偉大なる作曲家達は、恋愛をモチーフに沢山の名曲を残していますし、オペラには恋愛の話は欠かせません。もっと言えば、「愛の挨拶」「愛の喜び悲しみ」なんて、もう超直接的に愛のタイトルが付いてしまう曲目も結構あります!笑

逆に歌曲のような曲ではなく、テクニック中心の曲などは、もしかしたら恋愛経験が、無い方が上手く弾けたりするかもしれないと考えられますが、ただ、技巧曲が多いパガニーニもサラサーテも、とても表現豊かな、歌曲的なロマン派を代表する作曲家であります。現代曲とかでない限り、表現力をしないような曲はあまり存在しないような気がします。

演奏者の演奏スタイルにもよる

では、恋愛する全ての人々が上手い演奏をするかと問われれば、そうではありません。いろんな恋の形、恋愛がありますからね。偏った恋愛をしてれば、そういう音楽になりかねないかもしれません。

また、恋愛ばかりしている人達でも、淡白に演奏する奏者もいます。逆に、真面目に練習して、恋愛経験無いのに、恋愛を想像で色気たっぷりに、弾く素晴らしい奏者もいることも事実です。

恋愛経験のある演奏と無い演奏

生徒が、いわゆる「大人の演奏」に変わったなと確信出来る時ってありますよね。

先生にとっては、生徒が子供の頃からレッスンをしていると、そういう成長は分かりにくいものです。(これはわたしだからかな?)

たまに門下生のお母様が「門下生の◯◯ちゃん変わりましたね!恋愛してるっていう話聞きましたし、やっぱり恋愛して、大人っぽい演奏になったわね〜」という噂話を聞くことがよくあります。

もちろんその意味や意図は分かっていますし、その意見に同意します!ただ、その話を聞くと、大人っぽい演奏にするためにわたしが味をつけたり表現を付けたりしているので、単純にその生徒の解釈力が仕方が上がったのかなとも思ったりもします。笑

他に、生徒の演奏後「あの子には、恋愛が必要ね!」とか「もっとダークな恋愛が必要!」「振られる経験しなきゃあの音は出ないね」とかそんな話をされる大人の生徒さんの噂話もよく聞きます。

こういう感想を持つ方々が一定以上いるということから、人間は直感的に、音楽と恋愛経験というのは切っても切れないものなのかなとも思います。

コンクールでは恋愛経験は、、

コンクールで審査員が講評用紙に「この生徒は、恋愛経験をしないとダメだ!」なんて書いたら、現在ではタブーですし、大問題になりますよね!苦笑

なので審査員達は「恋愛経験が必要」と講評に書く代わりに

「これから素敵な人生経験を積み重ねて行ってくださいね!」

とか

「色々な経験をもっとすると音楽に幅が出てくるでしょう」と柔らかく書いたりします。笑

コンクールで「表面上」は、恋愛経験の有無は審査上関係無いです。ただし、恋愛経験が無いと判断されると、まだ子供なのかなーとか、恋愛経験がある振りを先生がさせてるなーとか思われることはあるかと思います。

私個人的には、恋愛経験はコンクール審査に影響があるものだとは思いません。むしろ恋愛経験があったらあったで、実は不利になることも無きにしも非ずかなと思います。

たとえば、余計な恋愛経験の為に、逆にコンクールで悪目立ちしてしまう所謂「くさい演奏」になってしまい審査員に嫌われてしまう。ということもあるかなと想像します。結局バランスが大事なのです。

音も演技力が試されるかも

恋愛経験がなくても、他人の恋愛や恋愛ドラマ、お芝居などで興味を持ち、そこから音を、音楽を作り出すこともできるかなと思います。もちろん自身の体験に勝るものはもちろん無いですが、、

大人の音を作り出せる幼稚園児もなかにはいます。先生の奏でる音の影響力と、その子の耳の良さ、音感の良さ、頭の回転の速さ、理解力なども必要になって来ますが、僅か数年しか人生経験なくとも想像で出来てしまうこともあります。その秘訣は、演技力、芝居力なのかなぁと思います。所謂天才子役的な!?感じなのかなと思います。

私たち演奏家は、舞台に立って、世界一のヴァイオリニストを演じて、その曲に関して演奏するというお芝居をするわけですから、やはり恋愛経験豊富な奏者になりきるのもら大事なのかなと思います。

今回の結論!

ごちゃごちゃ言ってきましたが、表現の幅や曲の理解、作曲家の意図を想像する。という意味では、恋愛経験も含める人生経験は豊富な方が引き出しは多い方がより良いと思います。

一方で、恋愛経験ばかり、表現ばかり考えていると足を救われることもあります。基本は、音を鳴らす、正しい音を音程を鳴らすことを忘れずにいることが重要です。

だからと、理論ばかりでは、人々に好まれにくいです。

色々な人生経験を経て、人々にとって面白い、興味深い、愛嬌も有り、気の使えて、好かれるような演奏家になることが大事かなと思います。バランス良く恋愛経験も、成長過程では必要であるのかなと思います。

恋愛もしましょう!練習もしましょう!(^^)/

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