ヴァイオリン初心者、ヴァイオリンを習い始めたばかりの生徒が「譜面を読む」際に、「ドレミ」つまり音名を読み考えるシステム(※以下「ドレミシステム」)と、指番号を見ながら弾くシステム(※以下「指番号システム」)のどちらがが使用されます。
どちらのシステムにもメリットデメリットがありまして、どちらを採用すべきかは、各先生達の判断に任されます。
ピアノ経験者は、「ドレミシステム」を使用
ピアノ経験者の生徒さんは、かなりの確率で「ドレミシステム」(音名)を理解してヴァイオリンのレッスンに臨まれます。
「ドレミシステム」を理解している方は、最初からヴァイオリンをはじめる際、「ラ」から始まるキラキラ星が課題に出されても「ラーラーミーミー」と考えながら演奏出来るので、教える側としても音名を歌って教えることもでき、しかも音名での注意や指導がしやすいです。なので、曲の進度もピアノを習っていた生徒ほど、物凄く速く進みます。
「ドレミシステム」を理解していると、ヴァイオリンに応用することが出来て、楽器の構造理解も早いです。「ドレミシステム」(音名)を頭の中で考えて、歌えてヴァイオリンを弾けるのは、楽器を始めるにあたり、かなりの有利性があります。
「ドレミシステム」の問題点
しかし、問題もあります。ピアノ経験者の生徒は、ヴァイオリンの「指番号システム」で考えることが苦手なようです。というのも、ピアノの指番号は5本指全て使用される記載なので「1,2,3,4,5」と音符の上下に表記されていますが、ヴァイオリンの指番号は1つずつズレて、開放弦を含め記載が「0,1,2,3,4」となるので、どの指が何番の指なのかパニックになるみたいです。
また、この「ドレミシステム」を理解する生徒は、音符だけ見て、譜面に書き込まれている「指番号」を無視する(もしくは、見えない)生徒が多いです。例えば、ポジション移動が登場した以降にとても苦しみます。
同じ音だし簡単だからと、難しいハイポジションを避けて、低いポジションでその音を適当に弾くことに慣れてしまい、ヴァイオリン本来のハイポジション(他の弦の)の音質を良さを理解できずに、音質を諦めなくてはならない生徒さんが沢山います。その為に、音質が改善しにくくなり、ヴァイオリンの魅力的な音が成長しない場合が多々あります。
また、その結果、難しいハイポジションのある曲が苦手になります。そして、レッスンにおいても、指番号ミスを指摘されることが多くなり成長が鈍化します。
もう一つ!ピアノ経験者の場合、スラーは、ピアノを弾くにあたりヴァイオリンほど重要な記号ではありませんので、ボウイングやスラーも見落としがちになります。是非、譜面を読む際は、気をつけましょう!
ヴァイオリンが初めての方は「指番号システム」使用
対して、ヴァイオリンのレッスンをはじめる生徒さんで、譜面の読み方がわからない生徒さんの為に、多くのヴァイオリンの先生方が手っ取り早くヴァイオリンを弾かせる方法として使用するのが「指番号システム」です。
指番号システムは、一刻も早くヴァイオリンの音を出したい初心者の方や、初心者向けの簡単な曲を弾く為には最適な手段です。曲がとにかく早く弾きたい!とか、体験レッスンで、先生方が初心者の生徒を楽器を弾ける体験をさせて感動させたい!時に、非常に有効なシステムであり、有効な効率的な手段だと思います。
「指番号システム」の問題点。
しかし、「指番号システム」を使用される生徒さんは、譜面を読む際、音符を見ることはせずに主に指番号だけを見て演奏してしまいます。
「指番号システム」を使用される生徒さんは、ヴァイオリンを演奏する際、単に指番号のみを考えて、左手の弦を押さえることに集中しているので、「ドレミファ」と音を出して音楽をしている感覚があまりなく、タイプライターのように指番号を押さえる訓練をしている感覚になることが多いのです。結果、自分の音がちゃんと聴こえてない場合があります。
ということで、私はよく「指番号システム」を使用されて来た生徒さんに「ドレミシステム」を教えて、ヴァイオリンを指導しようとするのですが、7割の生徒が戸惑います。ピアノを使えば、「私はピアノではなくヴァイオリンを習いに来たのですが、、」と言われます。きっと、楽器と音楽理論を同時に考えるのが抵抗があり、また互いをリンクすることが難しいのかもしれません。
指番号システムを採用した生徒が早い段階で壁に当たる理由
ヴァイオリン初心者の「指番号システム」使用者で最初に当たる大きな壁は、シャープやフラット、ナチュラルなどの臨時記号が出てきた時です。
特に音名を考えずに指番号を見て感覚で弾いてる生徒の場合、音名と関連があるシャープやフラット、ナチュラルの臨時記号が登場すると、「なんじゃこりゃ!?」とパニックになり途端に壁にぶつかりヴァイオリンのイメージが悪くなります。
簡単に説明しますと、音名が分からないので「そこは、ドのナチュラルだから、2の指を下げて!」という説明が理解できないのです。「ドってどこ?何で2の指なのにドなの?あれ、こっちのG線もドなの?ていうかドって何?なんで2指をうごさなきゃならないの?シャープ?音を上げる?シャープとか会社名じゃないの?同じドなのに?なんで?やだ!」となり(笑)、複雑化して教える側もパニックになります。
なので、各音に目印をつけて「そこの音は、1指に近い2指、それでそこの音は、3指に近い2指。何色のテープの上だよ」みたいな説明をするしかなくなり、曲やフレーズ毎に、指の位置を変更するという理解になります。毎回、応急処置的な教え方になるので、新しく臨時記号が出てくる毎に説明が必要になり効率が教える方も面倒になってきます。
ということで、一つ一つの臨時記号の指の位置を説明するので、記憶力が抜群に良くない限りは、覚えきれなくなり、それ以降、曲を仕上げるのが極端に遅くなります。親御さんの負担も膨大です。
そしてこれを続けると最終的に、覚えるのが面倒になりますので、臨時記号を出てきた場合、勘で押すことになり、生徒によっては、シャープとナチュラルの中間を押すことになり、音程が定まらなくなり、泥沼になります。
「指番号システム」から「ドレミシステム」に移行する方法
この時点で、脱落してやめてしまうケースは、世界中多々あります。なので、出来るだけ早い段階で、「ドレミシステム」に切り替え理解することが大事だと私は思います。
そのためには、ピアノを習うことが手っ取り早いですが、あくまでヴァイオリン主体でピアノを習わない方針であれば、「ソルフェージュを導入」したり、「オーケストラに入って、譜面の理解を高めること」が解決方法に繋がるのではないかと思います。あとは、レッスン回数を多くして、先生に教えてもらうか、ヴァイオリンをレッスン内で教えることを諦めて、読譜を教えるしかありません。最終的には、理解している親御さんの努力次第になります。
私の場合、ピアノを最初に習った経緯から、ドレミシステムで行けましたが、ちゃんとした読譜は、中学校の吹奏楽の部活で友達と聴音やソルフェージュの問題集を買ってきて、問題を出し合って半分独学で学びました。あとは授業中サボって、楽典の勉強していました(←困った生徒です。汗)
「指番号システム」から「ドレミシステム」移行パターンは強い
しかしながら、「指番号システム」を初期として、後々「ドレミシステム」をしっかり導入したケースは、実は結構強いパターンだと思います。というのも、ポジション移動を楽に理解し、読譜が得意になるケースが多く、何よりボウイングから音符までしっかり見渡せる生徒になることが多いです。また、自分の間違えに気付くやすくなります。
何よりこのパターンは、楽譜が読めるようになった嬉しさと自信がつくことが、強いと思います!読譜が楽しくて仕方がなくなることでしょう。
レアな譜面を使わない教育法
全く教材や譜面を全く使わず、耳だけ使い暗譜で体験レッスンに来る生徒も、ごく稀にいます。
そういう教育を受けてきたのはきっと先生の方針だと思いますが、私の経験上、とても上達して来たとは思える生徒は少なく「むすんでひらいて」のような簡単な曲を長期間練習されるような生徒が多いです。
でも、ジプシーの天才系ヴァイオリニストは、このタイプみたいが多いです。なので、天才中の天才なら問題ないのかもしれません。
この稀タイプでの問題は、暗譜を常にした状態なので、レッスン中の指導による変更(指番号ボウイングなど)がとても難しいことや、先生が、そういうジプシーの超天才ヴァイオリニストの様な方でないとレッスンが効率よく進まないと思います。
まとめ
耳から入るヴァイオリン教育、目から入るヴァイオリン教育。私は、両方の教育法が大事で、バランスよく教えていくことが大事と考えます。それと同じで「ドレミシステム」「指番号システム」どちらの教育の仕方も尊重してバランス良く導入していくことが大事かなと思います。特にこどもに教える場合は、そのための親御さんの協力は不可欠です。
ヴァイオリンを、長く続かせる秘訣の一つに「理解することの楽しさ」があると思います。理解しにくい、訳わからない話は、人間つまらなくなります。例えば、説明書を読むのが苦手な人は、理解が面倒でつまらないから、読まないのだと思います。
読譜も「ドレミシステム」「指番号システム」の両方を早急に理解して、ヴァイオリンのレッスンを受けることが、長続きすることにもつながるのではないかなと思います!(完)
過去のレッスンで賛否わかれる意見シリーズ
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