レッスンで賛否分かれる意見シリーズ⑭「練習する曲の進度は、速くするべき?それとも遅くするべき?」

好評でブログアクセス数も多い、「レッスンで賛否分かれる意見シリーズ!」

今回は、練習している曲の合格を先生から貰って次の曲に進む、いわゆる「曲の進度」について書いてみたいと思います!

「曲の進度」は、習う先生によって本当に違います。

私の経験から「曲の進度」は、その先生の性格や経験に基づいて合格判断がされていると思います。また、上達したかどうかの他に、その曲に対して時間をどのくらいかけたか、という判断もされていると思います。

巷でよく勘違いされることが多いのですが、「曲の進度」が速い先生だから良い先生な訳でも悪い先生な訳でもありません。生徒さんの勘違いでトップクラスを誇る!?のが「曲の進度が速い=より上手い」ということ。「曲の進度」が遅くてもコンクールで結果を出す生徒は出します。だから関係ないのです。

「曲の進度」が遅い先生のパターンとして、注意深い先生、理想が高く厳しめな先生が多いです。逆に曲の進度が速い先生は、自信がある先生、曲が進んでも責任が取れる先生、生徒にあまい先生が多いかなと思います。

また、ヴァイオリンのレッスンでの「曲の進度」は、「譜読みの能力」と「基礎能力」の高い生徒が、平均してどこの教室でも速いイメージがあります。遅い生徒は、その逆であることが多々あります。ただ!音程が良くても、譜読みが出来ても、ドンドン曲を進めると良くない事もあります。

分野が違いますが、少しお寿司屋・板前さんのお話を例に、「曲の進度」のお話を進めていきます!

板前さんの下積みはいる?いらない?

通常、板前さんたちは、下積みからはじめてお寿司を握れるようになるまで数年かかる板前修業をされているらしいです。

それなのになんと!下積みなど無しで1ヶ月足らずで寿司職人になれる最新の板前教室があると数年前のテレビで紹介されていました!

とても味も美味しく、プロ顔負けだとか。しかも安価で修行が出来るのでその教室人気があるとか特集されていました。その番組では、下積みや変に時間を掛けるのは、まるで日本の悪しき文化のように言っていました。

確かに、そのときは、お金にうるさいお客さんを満足させられ、人件費を安く出来、教育年数も節約できて効率よくお金も稼げて良い教室に思えました。

しかし、何年も洗い物や野菜の下処理などをする、めんどくさい下積み無しで、いきなりお客様の前に立って寿司を握ることは、美味しければ本当にいいの?という疑問も思いました。

勿論、ヴァイオリン奏者であるわたしが、板前さんの議論をすることは場違いなのでしません。

ですが、一人のお客さんの立場として、同じ値段を払うならどちらが良いか言わせて貰えれば、下積みから頑張ってきた板さんが握ったお寿司の方が味わいもあり満足度は高いですし、雰囲気も重みもやっぱり違うと思います。食だって演奏だって気持ちって伝わると思いますよ。1ヶ月ホイホイで出来上がった寿司職人は「砂上の楼閣」状態だと思います。(←場違いだとか言いながら、結局意見言ってる。笑)

それで数年前に取り上げられていたそういう安価な板前さんは、時間が経った現在、流行っているようには思えません。認められなかったんだと思います。

下積みを大事にするかしないかは、職人の「バックグラウンド」であり、「クォリティ」であり、そして「ブランド力」にも影響すると思います。そして、それら全ては「自信」につながると私は思います。

ヴァイオリンに置き換えると、バックグラウンドは、「先生!」そして、クォリティやブランド力を上げることは「曲の進度をしっかり考えること」それで、その曲に対する「自信」も付けられるんじゃないかなと思います。

曲の進度が速いメリット&デメリット

まず、「曲の進度」が速いメリットですが、モチベーションが向上します!

先生から「練習している曲の合格」を貰えると生徒は認められた気分になり、楽器に対するモチベーションがグンっと上がります!

そして、「曲の進度」が速いと先生の合格基準がわかりやすくなるので、練習もしやすくゴールが見えます。練習目標が作りやすくなります。

しかしながら、「曲の進度」が速過ぎると、後々困ることがあります。

「曲の進度」が速いということは、「先生が厳しくない」「注意深くない」ということもあるかもしれないので、後で壁に当たりやすくなります。これは人生の法則ですかね!笑

基礎が出来ていないまま「曲の進度」が速かったりすると、そのうち「曲の進度」ペースを保つことが難しくなり、「曲の進度」がコントロール制御不能になり、「曲の進度」ペースも遅くなる負の循環がはじまります。つまり、一曲を丁寧に仕上げる癖が付かなくなります。最終的に「出来ない」「面白くない」からと次の練習曲に変えたくなる「逃げ癖」もついてくるのです。

また、どんどん出来ていない状態で次の曲に行くと、曲が覚えられなくなり、前に練習した曲を覚えにくくなります。よって結果直ぐに弾けるレパートリーも増えません。常に上書き保存状態ですね。別名で保存していかなきゃ悲しい結果になります。大器晩成の逆パターンになる危険性があります。

曲の進度が遅いメリット&デメリット

逆に、「曲の進度」が遅いとじっくり時間をかけて曲に取り組むことが出来て、曲の深掘りが出来るようになります。

また、その分、あちこち手を出さない分、基礎やエチュード(練習曲)に集中しやすくなります。

更に、曲を仕上げる、完成度の限界超え(新記録)を狙えるので、曲を仕上げる度に基礎力があがり、理想も高くなり、より高い完成度の仕上がりが望めます。

しかしながら、曲の進度が遅いデメリットとして、長く練習していると飽きが来ます。

飽きが来ない人は、それほど練習していないか、単純作業が好きな方だと思います。飽きるほど練習することは大事なのですが、飽きて練習効率が下がれば問題になります。

そして、その結果「つまらなく」なります。

これが、ヴァイオリンをはじめて、やめたくなる理由の第一位と言っても過言ではないのではないでしょうか。

私のところに体験レッスンに来る生徒で一番多い、他の先生とのトラブルは曲の問題です。どうも世界の各地で同時多発的にこのトラブルがあるみたいですね。

もし進度があまりに遅過ぎる場合は、先生に直訴することも考えた方が良いです。

1曲に1年半以上本番があるなど、理由なしに同じ曲を続けていれば黄色信号です。

なにかの教本の曲であるならば、理由なしに10ヶ月以上同じ曲を練習させられていれば黄色信号だと思います。但し、理由があるならば、問題無いです。なので、是非進度が進まなく不安な場合は、先生に必ず理由を聞いてみましょう。納得すればそれをまず攻略すべしです!

初心者の場合の曲の進度

例えば、巷にある、スズキメソッドや、篠崎教本、国登ヴァイオリン教本!?など、はじめたばからの初心者の方は、最初を大事にするかしないかで差がついて来ます。

なので、姿勢、弓の使い方や持ち方をしっかり身に付けないで、次の練習曲に進むことは、避けたほうが良いです。

もしそれで、進んでしまっているのであれば先生も生徒も、もう良い持ち方にすることを放棄して諦めた証拠と言っても過言ではありません。

もし先生に言われたことが出来てないのに曲を進められそうになった場合は、「諦められそうになってる!」と思うと良いかもしれません。

そこで、曲を進ませようとする先生にストップ!をかけて、「出来るまで教えてください!」というのが上達に必要な勇気かもしれませんね(^^)

壁に当たってしまうなら?

曲がどうしても弾けなくて、壁に当たってしまったと感じる生徒は、曲の進度が速すぎた可能性が大きいと思います。もしくは、基礎不足な可能性もあります。

一度、前に練習した曲に戻る勇気も必要かと思いますし、基礎力を上げるために音階などに集中するのも良いかもしれません。

ただ、逃げるが勝ちという言葉もあるので、敢えてスキップする手も無くは無いです。それは先生としっかり相談するべきだと思います。条件を付けてスキップするも手かな。

コンクールや発表会と向き合う場合

たまに、コンクールや発表会に向けて課題曲を仕上げている途中で、新しい曲を要望される生徒さんがいます。

ここで起こる問題は、先生側からすると「二兎を追う者は一兎をも得ず」になるよ。と思いますが、生徒側からすれば「一石二鳥」を狙いたいと思うのでしょう。

もちろん余力があれば良いのですが、そうで無い場合は、最初に言った「曲の進度=上手さの基準」の勘違いをされていることが多いので、気をつけなければなりません。

しかしながら、練習曲を増やすことで上手くなることがあるのも事実です。

そういう生徒は、きっと課題が多い方がやる気が出るタイプでしょう。先生は、それは見分ける必要がありますし、自分がそうだと信じるのであれば一度先生に相談して試してみるのも良いかもしれません。

ただ、これは言うに及ばずですが、基礎のスケールやら練習曲をやらずに足元救われる状態になるのは良く無いですよね。基礎をやらないと、そんなに遠くない将来、成長や上達の遅れを取ることになるので気をつけなくてはなりません。

まとめ結論・曲の進度

もちろん、曲の進度はその生徒によって違うので、先生方は、速くするべきでも遅くするべきでもなく、その生徒に適した「バランス」を見つけて行くことが大事だと思います。

当たり前ですが、何事も急いで良くなるケースは稀です。

また、これは一つのアドヴァイスですが、ヴァイオリンを習われる生徒さんや親御さんたちは、早く合格を貰って、早く次の練習曲に早く行きたいお気持ちはわかりますが、それを伝えるときは、先生に「夢や目標を伝えるようにお願いする程度」にしておきましょう。「○○のような曲に憧れていて、いつか弾きたいなぁ」という程度です。生徒がそう言うと先生の頭の中でどうすれば願いを叶えてあげられるか動き出します。きっと「○○年後だね」とか「次弾けるよ!」と予報を言ってくれることでしょう。

しかしながら、次の曲に行かせてと直接的に頼んだり、勝手にやったりすれば、先生が出したお薬を無視して、闇病院で購入した薬を勝手に飲んでいるようなものと思われます。そうなれば、リスペクトされない先生も気分悪くなります。気をつけましょう。

譜読みが早い子、自分の音が聴けて耳(音感)ができている生徒。(※絶対音感があるかどうかの意味では無いです)基礎が出来ている子。ピアノなどを習ってソルフェージュをやっていて、ちゃんと譜面を読める子であれば、曲の進度は、速めにしても後でそんなに壁に当たる可能性は低いので大丈夫だと思います。なので、曲の進度が遅いなと感じる場合は、譜読みや基礎を鍛えてみては如何でしょうか?

結論として、わたしの意見は、基礎ができていれば、どんどん曲はすすめるべきだと思います。また、合格基準を明確にすることが、生徒たちのモチベーションにもつながると思いますので、どのくらいで合格なのが常々伝えることが大事だと思います。(完)

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クニトInt'lストリングスクール ヴァイオリン教室/バイオリン教室 3度の飯より教えることが大好きな講師が、アメリカ大学で行われている国際感覚豊かなレッスンを行ってます!

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